Appleストアで修理するか、iPhone修理店で修理するか

iPhone修理店で修理するメリット・デメリット

2018年02月06日 17時42分

 Appleストアや正規代理店ではないiPhone修理業者も増えています。極端にいえば、机をひとつ置くスペースがあれば開業できる仕事ですので、比較的参入しやすいのでしょう。
 そういう意味で小さな店が多く、そして「非正規」というイメージもあるので、修理を依頼して大丈夫なのかと、少し心配になることもあるでしょう。でも、Appleストアにはない良いところもあるのです。というよりも、Appleストアの弱点をカバーするサービスを提供できているからこそ、需要があり、参入する業者が多くなっているということなのです。
 では、街角のiPhone修理店を利用するメリット・デメリットを見ていきます。
 
■メリット
ちかい・簡単に見つかる
 Appleストアは、かなりの大都市にしかありません。東京でさえ銀座と渋谷、表参道のみ。あとは仙台、名古屋、大阪、福岡です。北海道と四国の人にとっては「海外」です。アップル直営店と正規サービスプロバイダーにまで広げると数は多くなりますが、それでも、県庁所在地など、いわゆる「地方中枢都市」でないとありません。
 これに対し、中小のiPhone修理業者は、ある程度小さな街でも駅前になら見つかります。自分の住む街になかったとしても、近隣のすぐに行ける街には見つかるはずです。ですから、わざわざ遠くまで出かけたり、郵送したりしなくても、デバイスを直接見せに行くことができます。これは大きなメリットです。
 
早い
 持ち込めば即日対応はもちろんのこと、場合によっては1時間以内に修理・返却などといったこともあります。窓口で待たされることもなく、電話も数コール以内で出てくれますので、非常にスムーズに話が進みます。ほとんどの場合、Appleストアに比べると圧倒的に早いでしょう。このスピード感も、iPhone修理店の大きなメリットです。
 
安い
 AppleCareが有効な修理の一部では、iPhone修理店の方が高くついてしまうこともありますが、多くの場合はAppleストアよりも安く修理できます。純正ではない、サードパーティー製の安いパーツを使うケースもありますが、不具合を起こした箇所をピンポイントで修理・交換できるので、丸ごと新品に交換するAppleストアの対応よりは安くなるのです。
 
データを残せる可能性が高い
 Appleストアでの修理では、ほぼデータは残せないと考えなければなりません。これに対し、iPhone修理店なら可能な限りデータを消さずに修理してくれます。
 もちろん、必ずデータを残せるとは限りませんので、事前にバックアップをとっておく方が無難です。また、業者によっては、修理に際してデータの保存もサービスでやってくれるところもあります。
 
修理の範囲を指定できる
 うっかり落としてしまってフロントパネルを破損。そればかりではなく、カメラも動作しなくなっていた……などという場合。フロントパネルの交換のみ、指定してやってもらうこともできます。前述のように、Appleストアだと「完全に修理するか、何もしないか」の二者択一を迫られますが、街角のiPhone修理店なら柔軟に対応してくれます。

デメリット

技術力の低い業者もいる
 アップル製品を修理する技術者に対して、アップル社が認定する資格があるのですが、これはAppleストアや正規修理サービスプロバイダーで技術者として働くためには必須とされる資格なのであって、その資格があれば自分でiPhone修理店を開業できるというものではありません。同時に、その資格がなければiPhone修理店が開業できないというものでもないのです。実際、個人でiPhone修理店を開業する人もたくさんいます。
 ですから、家のちかくで見つかったiPhone修理店について、その技術力を保証する仕組みは、今のところないのです。現在、総務省が、携帯電話の修理やメンテナンスを行う業者について、電波法にもとづく登録制度を発足させていますが、現時点では登録しなくても業者にペナルティはありませんし、技術力について何らかの検定をしないと登録できないという制度でもないので、あまり意味がありません。将来的には、安心して業者を選ぶための制度として、きちんと機能していく可能性がありますが、今のところは技術力が低く、まともな修理ができない業者に当たってしまう可能性はあります。
 
悪質な業者もなかにはいる
 また、依頼した修理以外の処置を勝手に付け加え、高額な追加料金を請求するなど、悪質な金儲けをもくろむ業者も、一部には存在します。不具合を診断したうえで修理するわけですが、その診断結果やどのような修理が必要か説明しない業者だと、そうしたぼったくりをする可能性があります。
そのほかにも手口はさまざまで、中国製などの粗悪なパーツで修理をしたり、デバイス内のデータを抜いて悪用したりする業者もいます。
 業者のホームページをチェックして、プライバシーポリシーをうたっているかどうか、チェックするようにしましょう。
 
アップルの正規保証サービスが受けられなくなる
 iPhone修理店では、安い料金での修理を提供するために、アップル純正ではない安いパーツを使うこともあるのですが、そうした修理を受けてしまうと、その後、正規の製品保証やAppleCareの期間がまだ残っていても、保証サービスでの料金で修理することはできなくなります。
 以前は、非正規の修理店で手が加えられたデバイスについては、Appleストアは修理受付そのものを断っていました。2017年3月以降、修理内容によっては受け入れはしてくれるようになっていますが、修理料金は保証外の金額になります。バッテリーやロジックボードを非正規店で交換したiPhoneは、現在でも受け付けられません。
 正規サービスよりも安く修理したくて、近くのiPhone修理店に持ち込んだのにうまく修理できず、正規のAppleストアに依頼して高い修理料金を請求されて、結局のところダブルパンチで高くついてしまった……という経験をする人も、残念ながらたくさんいます。
 なお、Appleストアや正規修理サービスプロバイダーは、非正規業者の手が加わったデバイスをほぼ確実に見抜けるそうです。
 
修理後の性能低下や再故障率上昇もありうる
 「アップル純正ではない安いパーツを使うから」ということなのですが、正規でないiPhone修理店で修理し、返却されたものを使っていると、「過熱しやすくなった」、「カメラで写真の写りが悪くなった」、「バッテリーの持ちが悪くなった」など、使い勝手が悪くなったと実感してしまうこともあります。「安く修理したのだからしかたない」と割り切れるのならいいのですが、実際のところくやしいと感じるのも事実でしょう。
 アップルは非正規の修理店にパーツを卸さない方針をとっていますので、そうした修理店は本来、純正パーツを手に入れることはできません。ただ、なにごとにも「ウラ技」というのはあって、純正パーツを製造する業者や流通させる業者と交渉して入手することは不可能ではないのです。純正パーツによる修理が可能かどうか、修理を依頼する前に確認するといいでしょう。